日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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FR照射によって引き起こされるシロイヌナズナの根における水動態の解析
*石川 春樹奈良 久美鈴木 均
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p. 192

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抄録
植物体の内部には光、とりわけ遠赤色光、を効果的に伝送する組織が存在する。これまでに観察した限り、この組織はシロイヌナズナを含むすべての植物体に備わっている。私たちはすでにこの組織を通る遠赤色光は根においてアクアポリンの遺伝子発現に強い影響を及ぼすことを示してきた。アクアポリン遺伝子の活性化は植物体内の水分布やその動態を変化させることが予測された。ここから、植物体を傷つけることなく内部の水状態を経時的に測定することが必要となった。そこで、シロイヌナズナについて、非破壊・非接触な測定が可能なNMR顕微鏡によって可視化するとともにその経時変化の追跡を試みた。従来、1H NMR‐イメージング法はシロイヌナズナのように細く小さな個体には適用が困難であったが、我々は小さな植物体の根においても十分なS/Nを得ることが出来る手法を開発した。またNMR内で明暗の光周期およびFR照射が行える実験系を開発し温室内の光環境を再現した。3日間の暗順応を行った実生にNMR上部からFR照射を行い、照射前後において根部の水分布にみられる変化を数値化することによって比較検討を行った。また、これらの制御に深く関わると思われる光受容体についても併せて考察したい。
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© 2005 日本植物生理学会
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