日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ポプラへのガンマ線照射の影響
*西口 満吉田 和正
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p. 191

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抄録
樹木への電離放射線照射の影響と照射に対する応答反応を調べるため、ポプラ(Populus nigra var. italica)の苗木に総線量10-300Gy(20時間)のガンマ線を急照射し、その後10週間育成した。10-50Gy照射では、樹高伸長の遅延が見られるものの、乾燥重量は非照射個体とほぼ同様であった。100Gyでは、成長が低下あるいは停止する個体が現れるが枯死する個体はなかった。成長が停止した個体では、後に土中の茎から萌芽を生じ、茎葉部を展開した。150-200Gyの照射により、成長は完全に停止し、照射後4-10週間に多くの個体が枯死した。300Gyでは、全ての個体が照射後4-7週間に枯死した。葉の断裂、葉序の異常、茎頂の分岐等の形態異常が50Gy以上の照射により現れることがあるが、これらの変異は一時的かつ局所的なもので、その後の成長に伴う形態はほぼ正常であった。また、ガンマ線照射は、茎や葉柄からの不定芽の誘導および培養細胞の増殖も阻害した。これらのガンマ線の影響は主にDNAの損傷によるものと考えられるが、ガンマ線を照射したポプラでは、Rad51やDNAリガーゼIVといった損傷DNA修復系の遺伝子の発現量が増加していた。これは、ポプラ細胞内でガンマ線により損傷したDNAの修復が進行していることを示唆している。
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© 2005 日本植物生理学会
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