日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネのホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ遺伝子群の解析
*大河 浩村山 誠治谷口 洋二郎土田 博子深山 浩徳富(宮尾) 光恵
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p. 206

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抄録
ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ(PEPC)は、C4植物とCAM植物では光合成初期炭酸固定反応に携わっているが、C3植物ではTCA回路へ基質を補充するアナプレロティック機能をもつ。また、発芽、果実の成熟、気孔開閉などに関与すると考えられているが、その作用機作は充分にわかっていない。植物ゲノム全塩基配列の解読が進み、マルチジーンファミリーを構成する目的遺伝子群を網羅的に解析することが可能となった。本研究では、イネのもつすべてのPEPC遺伝子について、その遺伝子構造と発現様式を比較した。イネゲノム全塩基配列情報の検索から、イネは5種類のPEPC遺伝子をもち、そのうち4種類(Osppc1-4)は植物型PEPCを、1種類(Osppc-b)はバクテリア型PEPCをコードすることがわかった。植物型PEPC遺伝子は相同なエクソン-イントロン構造をもつことから、同一の祖先遺伝子から進化したと考えられる。RT-PCRで遺伝子発現の器官特異性を比較したところ、Osppc1, Osppc3 およびOsppc-b はほとんどの器官で発現が低かったが、Osppc2Osppc4 はすべての緑色器官で強く発現することがわかった。また、葉身においてOsppc2 の発現は日周変動を示したのに対し、Osppc4 は恒常的に発現した。現在、レポーター遺伝子を用いてOsppc2 およびOsppc4 発現の器官特異性・細胞特異性の解析を行っている。
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© 2005 日本植物生理学会
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