日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

C4型PEPカルボキシラーゼ(PEPC)のリン酸化によるリンゴ酸脱感作とPEPCキナーゼ(PEPCk)による特異的認識の分子機構の解析
*三原 裕子寺田 彰子佐藤 麻紀古本 強泉井 桂
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 208

詳細
抄録
 PEPCはC4光合成において初期炭酸固定を触媒する酵素である。トウモロコシPEPC(ZmPEPC)はアロステリック阻害因子であるL-リンゴ酸(MA)によってフィードバック阻害を受ける。またN末端近傍のSer-15が特異的なリン酸化酵素(PEPCk)によってリン酸化されることでMAに対する感受性が低下し、活性化型になる。
 我々は今回、標記の課題について手がかりを得るために、ZmPEPCのリン酸化部位を含むN末端領域を切除した酵素(ΔN1-34ZmPEPC)および大腸菌PEPC(EcPEPC)にZmPEPCのN末端領域を付加した酵素(+N1-34EcPEPC)を作製し、種々の解析を行った。ΔN1-34ZmPEPCはMAに対する脱感作が見られ、また+N1-34EcPEPCはリン酸化されたもののMAに対する感受性は変化しなかった。このことからZmPEPCのリン酸化に伴う脱感作には、N末端領域だけでなく他の植物PEPC特有の部位も関わることが示された。また、ΔN1-34ZmPEPCはZmPEPCのPEPCkによるリン酸化反応を阻害したことから、PEPCkによるPEPCの認識にはN末端以外の領域も関わることが示唆された。EcPEPCもZmPEPCのリン酸化を阻害したため、PEPCkが認識する領域はZmPEPCとEcPEPCに共通に存在すると考えられた。
著者関連情報
© 2005 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top