日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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高温と活性酸素が引き起こすリノレン酸の過酸化が葉緑体タンパク質の化学修飾をもたらす
*関 久美子山内 靖雄田中 浄脇内 成昭杉本 幸裕
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p. 215

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抄録
植物には生体膜の主要な構成成分として多価不飽和脂肪酸が多く含まれているが、それは容易に過酸化されタンパク質などに結合する反応性の高い化合物を生成することが知られている。本研究では、不飽和脂肪酸の過酸化生成物によるタンパク質の化学修飾を特異的モノクローナル抗体を用いたウエスタン分析により調査した。BSA、Rubiscoと、C18脂肪酸メチルエステルを用いたモデル実験では、化学修飾は三価不飽和脂肪酸であるリノレン酸が過酸化されたときによく起こり、33℃以上の温度と活性酸素発生系の存在下で顕著に促進された。化学修飾としてマロンジアルデヒド(OHCCH2CHO)、アクロレイン(CH2:CHCHO)、クロトンアルデヒド(CH3CH:CHCHO)などの活性アルデヒドに由来する付加物が確認された。単離したチラコイド膜を37℃・活性酸素発生系で処理した結果、34 kDのタンパク質がマロンジアルデヒドにより修飾されることが確認された。更に、植物体を40℃・光照射下で高温ストレスをかけた結果、同じタンパク質とRubisco、葉緑体局在アルドラ-ゼのマロンジアルデヒドによる化学修飾が確認された。活性アルデヒドによるタンパク質の化学修飾はタンパク質の機能を低下させるので、タンパク質の化学修飾は高温ストレスを受けた植物のダメージの一因になっていると考えられる。
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© 2005 日本植物生理学会
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