日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナの種子発芽時に生成される活性酸素の役割について
*保浦 徳昇岩渕 雅樹小川 健一
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p. 229

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抄録

 ジベレリンは種子の発芽を促進する重要な植物ホルモンであることが知られており、その合成は低温や光といった環境因子によって活性化される事が明らかにされている。一方、様々な植物の種子発芽にはH2O2やO2-などの活性酸素が必要であることが示唆されている。近年の研究から活性酸素は細胞内シグナル伝達物質として重要な働きをする事が示唆されているが、活性酸素がどの様な分子メカニズムで発芽を促進するのか、ジベレリンとの関係においては明確になっていない。そこでシロイヌナズナを用いて吸水後直ちに生成する活性酸素の発芽における役割を明らかにする事を目的として解析を行った。シロイヌナズナにおいてもH2O2処理によって発芽が促進され、H2O2処理によって誘導される遺伝子にはジベレリンに関わる遺伝子が含まれていることがマイクロアレイ解析によって明らかとなった。さらに実際の種子で活性酸素が生成されているかどうかを調べたところ、シロイヌナズナにおいても吸水後直ちにO2-が生成された。よって、O2-の不均化反応産物であるH2O2は実際にジベレリンの関与する発芽促進経路を制御していることが考えられた。

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© 2005 日本植物生理学会
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