抄録
植物の液胞は、複雑な構造をした多機能性のオルガネラである。我々がシロイヌナズナの重力屈性変異体として単離したshoot gravitropism 2 (sgr2) は、花茎内皮細胞中の液胞とアミロプラストの動態に異常が見られる。内皮細胞のアミロプラストの動態は、重力の感受に重要であり、液胞の動態と密接に関連することが示唆されている。SGR2はウシのホスホリパーゼA1に似たタンパク質で、主に液胞膜およびドット状のオルガネラに局在し、その構造や機能に関与すると考えられる。しかし、その具体的な機能は未知である。そこで、sgr2-1の重力屈性の回復を指標として、SGR2と遺伝学的に相互作用するサプレッサー因子kiritsu171(krt171)を得た。krt171変異は、sgr2-1のアミロプラストの動態異常を抑圧した。よって、KRT171も液胞の構造や機能に関与する因子であると思われる。マップベースクローニングにより、KRT171遺伝子の単離を行った結果、EF-ハンドドメインとアシルトランスフェラーゼ活性ドメインを持つ新規の膜タンパク質をコードする可能性が高いことがわかった。現在、KRT171とSGR2のアシル化・脱アシル化の作用により、液胞動態が制御される可能性について検討している。