抄録
Multiprotein Bridging Factor 1 (MBF1) は、カイコの転写因子BmFTZ-F1による転写活性化に必要な因子として単離されたタンパク質である。MBF1は転写因子とTATA-binding protein (TBP) とを橋渡しすることでコアクチベーターとして機能しており、そのアミノ酸配列は真核生物内で広く保存されている。植物にもホモローグが存在し、遺伝子発現への関与が明らかにされつつあるが、機能の詳細は未解明である。カイコやヒトにおいては、MBF1の細胞内局在により転写が制御されているという報告がある。MBF1には核移行シグナルと思われる配列は存在せず、単独では細胞質に局在するが、MBF1結合タンパク質との共発現時には核へと移行する。動物MBF1においては転写制御に局在性変化が深く関わっているが、植物MBF1では局在に関する報告例はない。
そこで、我々はシロイヌナズナMBF1の3つのサブタイプ (AtMBF1a , AtMBF1b , AtMBF1c) の細胞内局在を調べた。シロイヌナズナ個体内でAtMBF1にGFPを連結させた融合タンパク質を発現させ、各組織における局在を観察したところ、 AtMBF1は核でも観察された。次に、核内が観察しやすいタマネギの表皮細胞でAtMBF1-GFP融合タンパク質を発現させ、核内局在を観察した。その結果、核小体への局在が観察された。AtMBF1において、核小体局在に関与する領域を調べるためドメイン解析を行ったところ、C末端側の配列が核小体局在に関与していることが示された。