日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ミヤコグサにおけるENOD40サイレンシングは根粒形成を抑制する
*河内 宏木下 恵理Robert W. Ridge熊谷 浩高
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p. 270

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抄録
ENOD40は、マメ科植物において根粒菌Nodファクターによってもっとも初期に誘導される遺伝子であり、根粒菌との相互作用初期における発現様式から、根粒原基形成につながる皮層細胞分裂の誘導に重要な役割を持つと推定されてきた。 しかし、これまでに行われた過剰発現やアンチセンス形質転換実験が明瞭な表現型を示さないため、その機能は想像の域を出ていない。ミヤコグサは2つのENOD40(LjENOD40-1,-2)遺伝子をもち、それらのmRNAの塩基配列の相同性は約55%である。我々は、LjENOD40-1の配列に基づいてRNAiコンストラクトを構築し、ミヤコグサを形質転換した。その結果、LjENOD40-1、-2ともにそのmRNAレベルが著しく減少した多数のサイレンシング系統を得た。これらの形質転換体では明らかに根粒形成が抑制され、個体あたり0~2個の根粒しか形成しなかった。形質転換後代(T2)における導入遺伝子に関する遺伝的分離は、根粒形成の表現形質の分離と完全に相関した。LacZ標識根粒菌を用いた観察の結果、ENOD40サイレンシング個体での感染糸形成頻度は野生型とまったく差がなく、根粒原基の形成(皮層細胞分裂の誘導)とその後の根粒の発達が著しく抑制されていた。これらの結果は、ENOD40が、根粒菌感染プロセスではなく根粒原基の形成およびその後の根粒の器官形成に重要な役割を担っていることを強く示唆している。
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© 2005 日本植物生理学会
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