抄録
TSF遺伝子は、花成経路統合遺伝子FTと高い相同性を有することから花成制御に関わる可能性が高い。
我々は、TSFはCOによる転写制御を受け光周期に依存した日周変動を示すこと、いくつかの花成関連変異体でFTとよく似た発現レベルの変化を示すことを明らかにした。これらの結果は、TSFが花成経路を統合する機能を持つ可能性を支持する。実際に、TSFのT-DNA挿入変異体の花成時期を長日条件下で測定したところ、単独では野生型と顕著な差は見られなかったが、ft変異と組み合わせると遅咲き表現型を昂進した。したがって、TSFは主として光周期依存経路でFTと重複して花成時期決定に機能すると考えられる。そこで、光周期経路に位置づけられている遺伝子の変異が、TSF過剰発現体の表現型に及ぼす効果を検討した。解析したなかでfd変異のみが35S::TSFの早咲き表現型を抑圧したことから、TSFの花成促進能にはFTの場合と同様にbZIP転写因子をコードするFDの機能が必要であると考えられる。
一方で、TSFがFTと異なる発現制御を受ける場合があること、TSF過剰発現体の早咲き表現型を優性のfwa変異は抑圧しないことを見出した。そこで、TSFのレポーター解析を行ったところ、FTとは発現領域が異なることが明らかとなった。変異体の表現型が異なることも考慮に入れると、両遺伝子には機能分化が存在している可能性がある。