日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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H +-ピロホスファターゼ欠損シロイヌナズナ変異株の生育表現型
*中西 洋一若見 俊介稲垣 麻由森上 敦加藤 友彦田畑 哲之佐藤 修正前島 正義
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p. 309

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抄録
 植物液胞は細胞の大部分を占めるため、細胞成長は液胞の発達と強く結びついている。液胞発達をエネルギー的に底辺で支えているのは液胞型H +-ATPaseと液胞型H +-ピロホスファターゼ(V-PPase)の2つのプロトンポンプである。このうちV-PPaseは植物液胞に特徴的な分子で無機ピロリン酸の加水分解エネルギーを利用してH +を輸送する。
 V-PPaseの生理機能を検証するため、シロイヌナズナのT-DNAタグラインライブラリを検索し、V-PPase遺伝子(VHP1)破壊株2株を得た。これらは炭素源を豊富に含む培地で栽培すると野生株と同等に生育した。しかしながら、炭素源を減らした培地や、光合成による独立栄養条件では葉の面積が約半分の小さな植物体となり、生殖成長への移行も遅れた。この傾向は光照射量を制限するとさらに顕著になり、発芽率も低下した。以上の結果からV-PPaseは植物細胞の生存に必須ではないが、通常環境下での液胞発達と植物成長に極めて有利に働くため進化上保持されていると考えられる。
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© 2005 日本植物生理学会
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