日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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青色光/緑色光可逆的光変換するフィトクロム様光受容体の発色団探索
*吉原 静恵松岡 大介直原 一徳河内 孝之徳富 哲
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p. 315

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抄録
フィトクロムは植物の様々な光応答に関わる光受容体だが、近年ではバクテリアのゲノムからも多くのフィトクロム様遺伝子が見いだされている。フィトクロムの特徴として、開環テトラピロールを共有結合し、赤色光吸収型(Pr)/遠赤色光吸収型(Pfr)可逆的光変換する性質が知られている。
一方、pixJ1は単細胞性のシアノバクテリアSynechocystis sp. PCC 6803の正の走光性に必須な遺伝子であり、フィトクロムの色素結合領域に相同性を示すことから走光性の光受容体であると考えられた。シアノバクテリアから単離したHis-PixJ1タンパク質はフィトクロムのように開環テトラピロールを共有結合しているが、青色光吸収型(Pb型、最大吸収435 nm)と緑色光吸収型(Pg型、最大吸収535 nm)の間を可逆的に光変換する新規の光受容体であることをすでに報告した。我々は、PixJ1に結合している発色団を同定するために、PixJ1の色素結合ドメインと複数種の発色団との結合、吸収特性を調べた。その結果、SynechocystisのフィトクロムCph1の発色団であるphycocyanobilin(PCB)を結合したPixJ1は、シアノバクテリアから単離したPixJ1のものに似た吸収スペクトルを示した。しかし、SynechocystisのフィトクロムCph1はPCBを結合してPr(最大吸収656 nm)/Pfr(最大吸収702 nm)可逆的光変換を示すことが知られている。PCBが青色光/緑色光可逆的光変換に関わる可能性について考察する。
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© 2005 日本植物生理学会
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