抄録
エリシターなど病原菌の感染シグナルが細胞膜上で認識されると、二相性のCa2+動員に引き続いてNADPH oxidaseが活性化され、.O2-などの活性酸素種(ROS)の生成が誘導され、生体防御反応の誘導に重要な役割を果たす(PCP (2004) 45: 160)。好中球等のNADPH oxidaseの多くの構成要素のうち、植物ゲノム中にはNoxファミリーやRacのorthologのみが見出されている。植物のNox (Rboh)はいずれもN末端側にEF-handモチーフを含む領域が付加されているが、その活性調節機構は不明の点が多い。そこで本研究では、動物培養細胞における異種発現系を用いてシロイヌナズナのRbohの機能解析を試みた。植物体、培養細胞共に強い発現が見られたAtRbohDの全長を単離し、発現を確認するためにN末端側にflagを付加してHEK293T細胞で発現させたところ、Ca2+イオノフォアionomycin処理によりROSの生成が観察された。この活性は、NADPH oxidaseの阻害剤DPIやプロテインキナーゼ阻害剤K-252により完全に抑制され、逆に細胞を予めプロテインホスファターゼ阻害剤で前処理することにより著しく増大した。すなわち植物のRbohは、EF-handへのCa2+の結合とタンパク質リン酸化によって相乗的に直接活性化される可能性が示唆された。