抄録
我々は、イネにおいてデンプン合成の基質となるADPglucoseをAMPとG1Pに分解する酵素nucleotide pyrophosphatase (NPP1)を同定し、その遺伝子(OsNPP1)についての解析を行ってきた。さらに、OsNPP1と高い相同性(61%)を示す新規遺伝子のクローニングに成功したのでこれを報告する。クローニングした遺伝子をOsNPP2とし、これをAgrobacterium法により導入し、過剰発現体を作出した。NPP2を過剰発現体イネより精製し、その酵素的性質の解析を行った。精製酵素の分子サイズはNPP1とほぼ同じ約70kDaであり、さらにNPP2はConA Sepharoseカラムに結合することから、NPP1同様糖タンパク質であることが確認された。NPP1はADPglucose等の糖ヌクレオチドを分解することが示されている。精製したNPP2の基質特異性について調べたところ、ADP, UDP, などのヌクレオチドを分解するもののADPglucose, UDPglucoseなどの糖ヌクレオチドには分解活性を示さないことが分かった。本研究の結果から、NPP2は NPP1とは異なる生理的役割を有することが示唆された。NPP2のイネ過剰発現体の形質についても報告する。