日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ソルガムC4型NADP-リンゴ酸脱水素酵素を高発現する形質転換イネの生理解析
*谷口 洋二郎深山 浩徳富(宮尾) 光恵
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p. 332

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抄録
葉緑体型NADP-リンゴ酸脱水素酵素(MDH)は、光合成電子伝達系で生成された還元力の葉緑体外への汲み出しに関与している。葉緑体内にNADPHが蓄積すると光合成が阻害されることから、MDHの高発現で光合成光阻害が緩和されると期待される。今回我々は、C4植物であるソルガムのMDHを高発現する形質転換イネ(MDH活性が非形質転換イネの17倍および39倍)を用い、イネ内での外来MDHの光活性化様式と光合成特性に対するMDH高発現の効果を検討した。定常状態(生育光条件下)でのMDHの活性化率はソルガムで80 %以上だったのに対し、非形質転換イネ、形質転換イネではいずれも40 %程度だった。しかし光照射による活性化速度は大きく異なり、ソルガムと非形質転換イネでは2分間で最大活性に達したのに対し、形質転換イネでは60分間でも最大活性に達しなかった。これは、還元型チオレドキシンの生成が外来MDHの活性化反応を律速するためと考えられる。MDHを高発現させても、光合成特性(炭酸同化活性の光強度依存性とCi依存性)は変化しなかった。また、低酸素条件で光呼吸を抑制しても、非形質転換イネと形質転換イネとで炭酸同化の光阻害感受性に顕著な違いは見られなかった。現在クロロフィル蛍光法で光合成光阻害感受性の解析を進めており、併せて報告する予定である。
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© 2005 日本植物生理学会
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