日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ヘリオバクテリア Heliophilum fasciatum における光合成遺伝子クラスターの解析
*中山 由美子井上 和仁
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p. 341

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抄録
ヘリオバクテリアはグラム陽性菌に属する嫌気性光合成細菌で、植物やシアノバクテリアの光化学系 I や緑色硫黄細菌と同様の鉄硫黄型光化学系反応中心を持つ。また、この光合成細菌の主要な光合成色素であるバクテリオクロロフィル (BChl) g は、シアノバクテリアや植物の持つクロロフィル (Chl) a 同様にポルフィリンの A環にビニル基を持ち、酸素存在下で Chl a 様の色素に光異性化される。ヘリオバクテリア Heliobacillus mobilis のゲノムには光化学反応中心のコア複合体の構造遺伝子 psh A や BChl g 合成に関与する多数の遺伝子が大きなクラスター構造を作っている。この光合成遺伝子クラスター上に存在する BChl g 合成酵素は、対応する Chl a 合成酵素と分子系統上の高い近縁性を示す(Xiong et al, 2000, Science)。今回我々は、別種のヘリオバクテリア Heliophilum fasciatum における光合成遺伝子クラスターの解析を行ったのでその結果を報告する。これまでのところ、H. mobilis とほぼ同様の遺伝子が H. fasciatum にも存在していることがわかった。H. fasciatum の遺伝子配列情報を加えた BChl/Chl 合成酵素の分子系統解析を行っており、これまでのところ Xiong らの結論と矛盾しない結果が得られている。
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© 2005 日本植物生理学会
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