日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シアノバクテリアSynechocystis sp.PCC6803のssDNA結合画分に存在するタンパク質の生化学的解析
*片島 良金勝 一樹
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p. 357

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抄録
葉緑体の遺伝子発現では、転写後のRNAレベルでの発現制御の比重が大きい。この過程では様々なRNA結合タンパク質(RNP)が関与していることや、一部のRNPはリン酸化されることでその機能がコントロールされることが明らかにされている。一方、シアノバクテリアの遺伝子発現でも転写後制御機構の存在が示唆されており、特に光条件によってmRNAの安定性が変わる遺伝子について報告がある。しかしながらシアノバクテリアでは転写後制御機構で機能を果たすRNPに関する知見は少ない。一般的にRNPはssDNAに強い親和性を持つことが知られている。そこで、Synechocystis sp.PCC6803からssDNA 結合タンパク質画分を調整し、光条件で変動するタンパク質と、プロテインキナーゼ活性についての解析を行った。その結果20kDaと30kDaのssDNA結合タンパク質が、暗条件と比較して明条件下で多量に検出された。また、18kDaと65kDaのプロテインキナーゼ活性も明条件下で著しく強くなり、このうち18kDaのプロテインキナーゼはNDPキナーゼであることが明らかになった。さらに、明条件のssDNA結合画分には暗条件では認められないリン酸化されていると考えられる40kDaと50kDaのタンパク質も検出された。現在これらのssDNA結合タンパク質の機能に関する研究をさらに進めている。
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© 2005 日本植物生理学会
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