日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ラン藻Plectonema boryanumのクロロフィル含量低下株の形質解析
*須田 亮輔藤田 祐一
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p. 358

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抄録
クロロフィル(Chl)の生合成系は、グルタミン酸からプロトポルフィリンIXまでの段階をヘムの生合成系と共有し、Mg-キラターゼによるプロトポルフィリンIXへのMg2+イオンの挿入によってChl特有の生合成系Mg-ブランチへと分岐する。したがって、Mg-キラターゼは、光合成生物の主要なテトラピロールであるChlとヘムの供給分配の調節に重要な役割を持つと考えられている。完全暗所でも生育が可能なラン藻Plectonema boryanumを用いて、Mg-キラターゼのサブユニットの一つChlDをコードするchlD遺伝子の破壊を試みたところ、変異株A5101が単離された。A5101は一回組換え体であったが、暗所で生育したA5101は、著しく薄い異常な色調を呈し、細胞の吸収スペクトルからChlのみならずフィコビリ蛋白質の含量が著しく低下していることが推測された。暗所で生育したA5101の濁度当たりのChl含量は、野生株の12%まで低下していた。A5101は、暗所従属栄養条件下では野生株よりもやや良好な生育を示したが、明所における光独立栄養条件では、強光(150 μmol/m2/s)及び弱光(10 μmol/m2/s)いずれにおいても生育が認められなかった。現在、A5101細胞における光化学系とChl生合成系の動態について検討中である。
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© 2005 日本植物生理学会
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