日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シアノバクテリアSynechocystis sp. PCC 6803グループ2シグマ因子SigEは糖異化を正に制御している
*小山内 崇高橋 洋之中野 貴之鈴木 石根村田 紀夫田中 寛
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p. 360

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抄録
シアノバクテリアSynechocystis sp. PCC 6803グループ2シグマ因子SigEは窒素欠乏時に転写誘導される事が知られている。Muro-Pastorらにより、sigE欠損ではType IIIグルタミンシンセターゼをコードするglnNの窒素欠乏時における誘導が減少することが明らかにされているが (Muro-Pastor et al., 2001)、その他のターゲットは発見されていない。我々はsigE欠損株を作製し、表現型を調べたところ、sigE欠損株は暗条件下(Heterotrophic condition)で生育しないことを発見した。マイクロアレイ解析の結果、解糖系、酸化的ペントースリン酸経路、グリコーゲン異化の酵素をコードする遺伝子群のmRNA量が、sigE欠損株で減少している事を見い出した。シアノバクテリアにおいて、酸化的ペントースリン酸経路の主要な酵素であるグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PD)、6-ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼ(6PGD)を欠損した株はそれぞれHeterotrophic growthができないことが知られている。mRNA量に加え、sigE欠損株では、G6PDと6PGDの酵素活性も減少しており、これらがsigE欠損株におけるHeterotrophic growthの不全の一因と考えられる。また通常培養条件下において、グルコースの取込み速度が減少する、グリコーゲン含量が約1.8倍に増加するといった表現型も発見した。これらの結果より、SigEは糖の異化を包括的に、正に制御している事が明らかとなった。
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© 2005 日本植物生理学会
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