日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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窒素固定型ラン色細菌Anabaena sp. PCC7120におけるヒドロゲナーゼ成熟酵素遺伝子(hypF)破壊の水素生産に及ぼす効果
*若井 宗人Sangeeta Dawar増川 一櫻井 英博
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p. 362

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抄録
シアノバクテリアの多くは、2種類のNiFe型ヒドロゲナーゼ(取込み型ヒドロゲナーゼHupおよび双方向型ヒドロゲナーゼHox)を持っており、それらの活性中心はNi-Fe-Sクラスターである。NiFe型ヒドロゲーゼの成熟過程は複雑であり、一連のhypHydrogenase pleiotropy)遺伝子産物による修飾を必要とする。hyp遺伝子産物の中でもHypFはcarbamoyl phosphateからNiFeクラスターに配位するCO、CNリガンドを合成し、成熟過程において中心的役割を担っている。われわれは、これまでに窒素固定型シアノバクテリアAnabaena sp. PCC7120株をもちいた光生物的水素生産の遺伝子工学的改良において、取込み型ヒドロゲナーゼHupの遺伝子破壊が有効であることを示した。本研究では、hypFの破壊も同様に窒素固定型シアノバクテリアによる光生物的水素生産性の向上に有効であるか否かを調べるために、Anabaena sp. PCC7120野生株とΔhupL株よりΔhypFおよび ΔhypFhupLを作製した。これら破壊株は野生株にくらべ5~8倍の水素生産効率を示した。この水素生産効率はΔhupL株と同程度である。これらの結果より、Anabaena sp. PCC7120株においてhypF破壊もニトロゲナーゼに基づく水素生産性の向上に有効であることが示された。
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© 2005 日本植物生理学会
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