抄録
種子を水平に置き発芽させたキュウリの芽ばえは、ペグと呼ばれる突起状組織を胚軸と根の境界 (Transition; TR) 領域の下側に形成する。われわれは、TR領域の上側の細胞が重力刺激に応答して、ペグ形成を誘導するオーキシンを排出することにより、ペグ形成を抑制すること示唆してきた。この分子機構を明らかにするため、本研究では、これまでに単離したCsPIN1 cDNAに加え、新たに5種のオーキシン排出キャリア遺伝子 (CsPIN2~6) cDNA をキュウリより単離し、これらの発現をNorthern hybridizationとin situ hybridizationにより解析した。その結果、発現の組織特異性から、キュウリのオーキシン排出キャリア遺伝子は、維管束とその周辺の組織で発現するCsPIN1~4、根の表皮・皮層で発現するCsPIN5、根の重力感受細胞であるコルメラ細胞で発現するCsPIN6の3つのカテゴリーに分類された。CsPIN1とCsPIN3~6はペグ形成時のTR領域においても発現が認められることから、今後、これらに注目して解析することにより、重力によるペグ形成面の制御を担うオーキシン輸送制御機構が明らかになるものと期待される。