日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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アカウキクサ-ランソウ共生系における固定窒素の同化とGSの局在について
前島 一宏*上田 英二汐見 信行
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p. 389

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抄録
水生シダ,アカウキクサの葉の内腔(キャビティ)にはランソウが共生している.共生ランソウは空気中の窒素を固定しアンモニアの形で植物に供給,一方,植物はランソウが放出したアンモニアをGS/GOGATによって取り込むと考えられている.アカウキクサ キャビティにはhair cellと呼ばれる植物由来の細胞が突出しており,その形態的な特徴からアンモニアの取り込みに関与していると考えられているが直接的な証拠はない.本研究では,アカウキクサにおけるGSの局在を免疫電顕の手法を用いて調べることによって,ランソウが固定放出したアンモニアがどの様にしてアカウキクサに取り込まれるのか? hair cellがどの様な役割を果たしているかを明らかにしようと試みた.結果は以下の通りであった.アカウキクサ葉肉細胞では,GSはそのほとんどがクロロプラストに認められ,細胞質にはほとんど認められなかった.一方,hair cellでは,クロロプラストだけでなく細胞質にも大量のGSが認められた.ランソウフリーのアカウキクサを作成し同様に調べたところ,葉肉細胞ではランソウを含むアカウキクサと差異は認められなかったが, hair cell ではクロロプラスト,細胞質ともに,ランソウを含むアカウキクサと比較して,著しく金粒子が少なかった.結果からアンモニアは,hair cell(恐らくhair cell細胞質GS)を介して取り込まれると推察された.
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© 2005 日本植物生理学会
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