抄録
マメ科植物において根粒形成の初期段階から発現する遺伝子をENOD(early nodulin)と呼ぶ。ENOD40はその一つであり、現在ではマメ科以外にもタバコやイネなどの非マメ科植物に広く存在していることがわかっているものの、その機能は未だに解明されていない。我々はミヤコグサ(Lotus japonicus)のENOD40について研究する過程でENOD40のアンチセンスRNA(asENOD40)の存在を示唆するデータを得た。そこで、Real Time RT-PCRを用いてasENOD40の発現量について調べた。その結果、asENOD40はセンスRNA(sENOD40)と比べ発現量は極めて少ないものの、根粒において発現量が上昇していることがわかった。また、根粒においてin situハイブリダイゼーションを行った結果、sENOD40は根粒維管束で強いシグナルが得られたのに対し、asENOD40は感染領域においてシグナルが得られており、この2つのRNAの局在は異なることがわかった。近年、真核生物において多くの内生のアンチセンスRNAが存在することが予測されており、アンチセンスRNAの発現動態やその機能について興味が持たれる。