抄録
マメ科植物と根粒菌の共生窒素固定は、相互の複雑なシグナルのやり取りによって成立する。ミヤコグサはマメ科のモデルとしてゲノム解析が進行中であり、その情報を利用して根粒菌からのシグナル受容や根粒形成初期のシグナル伝達の鍵となるいくつかの遺伝子が単離されている。これらの成果は根粒形成と共生窒素固定の成立のメカニズムを明らかにする上で我々の理解を助けたが、この複雑な過程にはより多くの遺伝子が関わっていることが予想される。我々は、根粒形成時に発現量が変動する遺伝子を網羅的に探索することを目的として、serial analysis of gene expression (SAGE)法を用いて非感染根と根粒原基の比較を行った。この結果、根粒形成に伴って発現量が増加する転写因子を8種類見いだした。更に、河内らによるcDNAアレイを用いた解析[Kouchi et al. (2004) DNA Res. 11:263-274]により、根粒形成初期から窒素固定能を持つ後期の根粒で発現が誘導される14種類の転写因子が同定された。これらの転写因子の根粒形成における役割を明らかにするため、我々は毛状根形質転換系を用いた機能解析に着手したので、その経過と結果について報告する。