日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ミヤコグサにおける菌根特異的なリン酸トランスポーターの同定と RNAi ノックダウン形質転換体の性状解析
*前田 大輔芦田 かなえ井口 恵太Chechetka Svetlana A出口 雄一泉井 桂畑 信吾
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p. 408

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抄録
アーバスキュラー菌根(AM)菌は 4 億年の太古より植物と共生関係を営んできた。AM 菌は地中に伸ばした外生菌糸により土壌中から低濃度のリン酸を吸収して植物に与え、その見返りに植物は AM 菌に光合成産物を与える。近年、AM 菌根特異的なリン酸トランスポーターをコードする植物遺伝子がジャガイモ、トマトおよびタルウマゴヤシから単離された。これら AM 菌根特異的な遺伝子についてさらに解析することで、分子進化学的に新たな知見を得ることができると期待される。私達は PCR クローニングにより、ミヤコグサ菌根から 3 つのリン酸トランスポーターcDNA (LjPT4, LjPT8 および LjPT16)をクローニングした。リアルタイム RT-PCR によりリン酸トランスポーターの発現解析を行ったところ、LjPT4 のみが菌根特異的に発現することが分かった。そこで、RNAi による LjPT4 のノックダウン形質転換体を作出して性状解析を行ったところ、リン酸濃度の低い生育環境下において AM 菌根を経由した植物のリン酸吸収量が減少していた。さらに、菌根菌の樹枝状体および嚢状体の数が減少し、逆に過敏感反応を示す植物細胞の数が増加していた。これらの結果から、LjPT4を介した十分なリン酸の取り込みが、菌根菌の発達を助長する一方で植物の防御応答関連の因子を抑制し、正常な共生を成立させるために欠かせないことが示唆された。
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© 2005 日本植物生理学会
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