抄録
酸性環境は重金属がイオンとして溶出しやすいため、酸性環境に適応した好酸性生物には、強い重金属耐性を持つものが多い。好酸性緑藻の、日本の宮城県・潟沼から単離した‹I›Chlamydomonas acidophila‹/I› KT-1とイタリアのピッシャレリ地方の湖沼から単離された‹I›Chlamydomonas acidophila‹/I› DVB238も高い重金属耐性を持つ。特に‹I›C. acidophila‹/I› DVB238の重金属ストレスに対する能力は高く、重金属の添加量で比較すると好中性藻類の‹I›Chlamydomonas reinhardtii‹/I›よりCdで66倍、Niで54倍の耐性を持っていた。重金属耐性株をファイトレメディエーションへ利用する為には、重金属蓄積能力が重要である。これら重金属耐性2株について、重金属蓄積性の試験(Cd、Ni)を行った。重金属添加量が30 μM Cd、300 μM Niでは、2株の蓄積量はほぼ同じだったが、‹I›C. acidophila‹/I› DVB238の方が高濃度(1,500 μM Cd、2,400 μM Ni)に耐え高い蓄積量を示した(13.7 μg Cd and 2.59 μg Ni per 10‹SUP›8‹/SUP› cells)。また、‹I›C. acidophila‹/I› DVB238では、Cd蓄積量の増加とともにタンパク質含有量も増加するという現象が見られた。そこで‹I›C. acidophila‹/I› DVB238の重金属蓄積機構に注目して、プロテオーム解析を試みた。