抄録
シロイヌナズナのMADS-box遺伝子AGL24は花成促進に働く。興味深いことに、シロイヌナズナのSVPはAGL24と進化系統学的に非常に近縁であるにもかかわらず、花成抑制に働く。AGL24とSVPタンパク質はM、I、K、Cドメインから成り、とりわけDNA結合に働くと考えられるMドメインの配列相同性が高い。本研究では、AGL24とSVPによる花成制御の分子機構を明らかにするために、両者の機能特異性を決定するドメインの同定を行った。方法として、両者のドメインを相互に組み換えたキメラ遺伝子を導入した形質転換植物体を作成し、その解析を行った。まず、M、MI、MIKドメインをそれぞれ相互に入れ換えたキメラ遺伝子をCaMV 35Sプロモータにより発現するコンストラクトを作成し、野生型シロイヌナズナに導入した。その結果、35S::SVP-M/AGL24-IKC (SVPのMとAGL24のIKCのドメインキメラ)導入植物体は35S::AGL24導入植物体と同様に早咲き、35S::AGL24-M/SVP-IKC導入植物体は35S::SVP導入植物体と同様に遅咲きとなる傾向を示した。これらの結果は、IKCドメインが機能特異性の決定に重要であることを示している。このことから、両者の機能的差異はIKCドメインが関わる機能、すなわちタンパク質複合体の形成や転写活性化能などに起因することが示唆された。