抄録
我々は、リンゴの花芽形成機構を解明するために、シロイヌナズナのLEAFY遺伝子のリンゴでのオルトログであるAFL1, AFL2遺伝子の発現解析を行っている。それぞれの遺伝子の上流約2.5 kbをGUS遺伝子につなぎ、シロイヌナズナに導入した。AFL2プロモーターでは、ごく若い蕾にGUSの染色が観察されたが、AFL1では全く染まらなかった。また両者ともにロゼット葉、花茎葉の托葉が強く染色された。このことはAFL2が花芽形成に関与することを示唆した。さらにリンゴでの発現様式を明らかにするため、果樹研究所リンゴ研究部で開発された、わい性台木JM2(マルバカイドウx M. 9)を遺伝子導入体として用いた。一般にリンゴの形質転換効率は低いが、リンゴ研究部では形質転換効率の高いリンゴ種の探索を行い、JM2が特に高い形質転換効率を示すことを明らかにした。AFL2プロモーター+GUSを導入した転換体リンゴ(JM2)の作出を行った。アグロバクテリウム法で感染した葉片517枚を薬剤耐性培地で選抜し、耐性の植物体31個体を得た。このうち17個体でGUS染色が確認された。栄養成長期のAFL2の発現様式をこれらの転換体を用いて解析したので報告する。