抄録
樹木は、地球上のバイオマスの大部分を占め、炭酸ガスの吸収、保水など地球環境に大きな役割を果たしている。また、産業上の重要性も高い。なかでもユーカリは製紙原料として最も利用される樹種の一つといえる。ユーカリはフトモモ科に属する樹木で、適応力が高く成長も速いため、寒冷地や 熱帯地域以外の地域で広く植林されている。我々は、樹木がもつ遺伝システムを解明し、品種改良に向けた基盤データを収集する目的で、ユーカリ(Eucalyptus camaldulensis)のゲノム配列決定を開始した。E. camaldulensisゲノムはサイズが約650 Mbであり、11本の染色体から構成される。ゲノム配列決定には、全ゲノムショットガン法とBAC末端配列分析法の組み合わせを適用し、クローンライブラリの構築とクローン末端配列データの蓄積をこれまでにおこなってきた。2004年11月現在、50万readsの塩基配列を蓄積した。今回、このデータを基に予備的な解析をおこない、その結果から、ゲノムの平均GC含量が約41%であること、高頻度に出現する反復配列がゲノムに存在することを明らかにした。今後は、ゲノム配列解析完了に向けて配列データの蓄積を進めるとともに、遺伝子単離や機能解析に向けて共同研究を含めたさまざまな可能性を探ってゆきたい。