抄録
ゲノム配列情報と位置情報の蓄積によりミヤコグサの比較ゲノム解析が可能となってきている。我々はミヤコグサのゲノム情報を用いた比較ゲノム解析のテストケースとして、シロイヌナズナ及びタルウマゴヤシとの間のシンテニー解析を進めている。
シロイヌナズナとのシンテニー解析は、ミヤコグサゲノム上に予測された個々の遺伝子について、対応するシロイヌナズナのオルソログ候補を同定し、その遺伝子配置を比較することにより行っている。これまでに調査したクローンの64%について3遺伝子以上で構成されるシンテニー関係を検出しており、ゲノムクローンサイズ(約100kb)ではミヤコグサゲノムの大部分をシロイヌナズナのゲノム断片に対応付けることは可能だと思われる。一方、検出されたシンテニー領域を染色体単位でプロットした結果、明確なマクロシンテニーは検出されていない。
同様の解析をゲノムシークエンンスが進行しているタルウマゴヤシについて行ったところ、調査したミヤコグサクローンの45%でシンテニー関係を示すタルウマゴヤシクローンが検出された。この割合はゲノムプロジェクトの進展に伴い上昇すると考えられる。また、検出されたシンテニー領域をそれぞれのクローンのマップ位置にプロットした結果、連続した領域での対応関係が認められ有意なマクロシンテニーが検出されている。
最新のゲノム情報を利用したシンテニー解析の結果について報告する。