日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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コムギ葉緑体転写酵素PEP画分のプロテオーム解析
*角山 雄一嶋岡 泰世富澤 健一椎名 隆
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p. 470

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抄録
 高等植物の葉緑体は、核とは異なる独自のゲノムと遺伝子発現系を有する。
 葉緑体中には二種類の転写酵素(PEP、NEP)が存在し、光合成関連の遺伝子群の多くは、これらの内PEP(Plastid-encoded plastid RNA polymerase)により転写される。PEPはバクテリアの転写酵素に類似のサブユニット構成をしており、転写反応を触媒するコア酵素と転写開始を制御するシグマ因子群から成る。またこれらに加え、環境や成長段階に応じてPEP機能を修飾するサブユニットや転写調節因子群も存在するものと考えられる。これまで、シグマ因子群については様々な解析がなされて来たが、他については殆ど明らかにされていない。
 我々は既に、コムギ葉緑体からシグマ因子活性を持たないPEP画分を調整することに成功している。今回、この画分についてLC-MS/MSを用いたプロテオーム解析を行った。その結果、予想通りシグマ因子は全く検出されなかったが、この画分中にはコア酵素サブユニット(α, β, β', β")が全て含まれていることが判明した。また、PEPコア酵素以外に、数種の転写関連タンパク質やリボゾームタンパク群、分子シャペロンといった、葉緑体遺伝子が転写されてから機能的な蛋白質が形成される迄に必要とされる様々なタンパク群も含まれていた。解析結果の詳細を報告する。本研究の一部はMETI/NEDOの支援によるものである。
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© 2005 日本植物生理学会
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