日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

ポプラ葉緑体形質転換法の開発
*奥村 暁澤田 真千子Yong Woo Park林 隆久富澤 健一
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 488

詳細
抄録
葉緑体形質転換法は導入遺伝子の水平移動の懸念が少ないため、環境に対してより安全な次世代技術と位置づけられている。しかし葉緑体形質転換系はタバコを筆頭に複数の草本植物で報告されたのみで、樹木への適用報告例はまだない。そこで我々はモデル樹木であるポプラの葉緑体形質転換系の開発に取組み、ポプラ葉緑体ゲノムへの外来遺伝子挿入に成功したので報告する。外来遺伝子としてスペクチノマイシン耐性を付与するaadA遺伝子と緑色蛍光蛋白質の遺伝子を葉緑体ゲノムの目的部位に挿入する形質転換用ベクターを構築し、ポプラの葉を材料としてパーティクルガンによる葉緑体形質転換を行った。処理した葉40枚を選択マーカー(aadA)に対応する抗生物質スペクチノマイシンとカルス誘導のためのホルモンを含むカルス誘導選択培地で培養したところ、白色化する葉の中からスペクチノマイシン耐性を示す緑色のカルス106株が得られ、そのうち17株については緑色蛍光が観察された。蛍光が観察されたカルス17株のうち3株からゲノムを抽出してPCRによる分析を行った結果、調べたカルス3株全てで2つの外来遺伝子が葉緑体ゲノム上の目的とした部位特異的に挿入されていることが確認できた。我々の知る限り樹木の細胞で葉緑体形質転換に成功した例はこれが初めての報告である。本研究は経済産業省の助成を受けた。
著者関連情報
© 2005 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top