日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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NADP特異的イソクエン酸脱水素酵素発現抑制のアルミニウムストレス耐性への効果
*木原 智仁稲垣 宏美鈴木 雄二瀧田 英司水野 梨絵河津 哲小山 博之
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p. 492

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抄録
酸性土壌における植物の生育はAlPO4等の難溶性リン酸塩の形成によるリン欠乏やAlイオンによる直接的な根伸長阻害により抑制される。ある種の植物は根から多量のクエン酸を放出することでこれらのストレスを回避している。従って、根からのクエン酸放出能を強化することで植物の酸性土壌耐性は向上され得ると考えられる。本研究では、クエン酸の分解に関与するNADPイソクエン酸脱水素酵素(NADP-ICDH)の発現をRNAi法により抑制したときのクエン酸の放出及び酸性土壌ストレス耐性に与える効果の評価をシロイヌナズナで行った。NADP-ICDHタンパクの減少を伴って著しくその活性が低下した組換え体を得た(野生型の10%程度)。これらの組換え体ではクエン酸含量が野生型の1.5倍程度に増加しており、またクエン酸放出レベルも最大2.5倍に増加していた。根伸長を指標としたAl耐性試験を行ったところ、組換え体において耐性度の向上が認められた。さらに実際の酸性土壌における生育評価を行った。個体あたりのリン含量の増加を伴った生育の改善が組換え体においてみとめられた。以上より、シロイヌナズナにおいてNADP-ICDHの発現を抑制することで根からのクエン酸放出レベルを増強でき、そのことで酸性土壌耐性が向上することが強く示唆された。現在、産業上の有用な木本植物であるユーカリにおけるこの技術の効果について検証中であり、あわせて報告する。
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© 2005 日本植物生理学会
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