日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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PHD-finger型ホメオドメインタンパク質を過剰発現させた形質転換イネの解析
*新井 雅雄
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p. 493

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抄録
アルファルファAlfin1とアミノ酸レベルで67.9 %の相同性のあるイネPHD-finger型ホメオドメインタンパク質RNBP97をCaMV35Sプロモーターの制御下で過剰発現させた形質転換イネを作出した。植物体を再生する際、一部の再分化個体は発根培地上で培養中にシュートが中心部分よりネクロシスを起こし枯死した。このような培養中の育成過程におけるシュートの枯死は、一般的には殆ど見られない現象であり、導入遺伝子が何らかの影響を及ぼしてシュートを枯死させていることが考えられる。正常に再生した40個体の幼苗を鉢上げ・育成したが、移植後の植物体の生育は悪く、生育途中で枯死する個体も見られた。一部の個体は葉身・葉鞘に過敏感応答様の褐変斑を示すものが見られた。さらに、一部の個体は長日条件下で1ヶ月間育成した時点で出穂した。2ヶ月間の長日条件下での育成後、短日処理により全再生個体を出穂させたが、約半数が不稔であった。T1世代幼苗を用いて種子根の生長量を調査したが、RNBP97タンパク質の発現量と種子根生長量との間に相関は見られなかった。T1世代幼苗をさらに育成したところ、T0世代において観察された過敏感反応様褐変斑を示す系統が見られた。これらの個体はその後ポットに移植したが、生長の悪い個体が観察され、中には生育途中で枯死するものもあった。
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© 2005 日本植物生理学会
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