日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネおよびアブラナ個体におけるカドミウム輸送のPositron Emitting Tracer Imaging System (PETIS)によるリアルタイム可視化
*藤巻 秀中村 進一鈴井 伸郎石岡 典子茅野 充男松橋 信平
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p. 502

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抄録
Positron Emitting Tracer Imaging System (PETIS)は、植物個体に与えたポジトロン放出核種の体内分布を非破壊的かつ経時的に観測できる装置である。最大の特長は、オートラジオグラフィーなどの手法と異なり動画像データが得られる点にある。これにより植物における物質輸送の動態を視覚的に理解することが容易になり、近年、様々な研究に利用されている。
本研究では、土壌および食糧の汚染が問題となっているカドミウムに着眼し、植物体内における吸収・輸送・蓄積の挙動を可視化することを試みた。ポジトロン放出トレーサとして107Cd(半減期6.5時間)をイオンビーム照射および化学分離によって調製し、供試した。播種後4~5週のイネ、播種後2~4週のアブラナを供試し、水耕液からトレーサを経根吸収させつつ、根の基部から地上部にかけて11~37時間イメージングを行なった。その結果、生きた植物体内のカドミウム移行の様子を動画像として得ることに初めて成功した。また同時に、根、葉鞘(イネ)、茎・節・葉柄・葉身(アブラナ)といった部位別にトレーサ量の経時変化グラフ(time-activity curve)を得た。各部位におけるカドミウムの輸送と蓄積の挙動を理解するために、これらのグラフを元に動態解析を試みたので、これについても報告する。
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© 2005 日本植物生理学会
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