日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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浸透圧調節に必須なラン藻のNaで活性化するKトランスポーターの解析
*松田 信行小林 弘中村 辰之介Bakker Evert加藤 大和小川 晃男魚住 信之
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p. 527

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抄録
微生物や植物には、Ktr/Trk/HKT系Na-Kトランスポーターが存在する。我々はこれまでに、らん藻のKtrBをK輸送能欠損変異株大腸菌を用いて解析を行ってきた。KtrBは機能発現のためにKtrA、KtrEが必要であり、大腸菌内で発現されたKtrABEはNa依存性のK輸送を示すことを明らかにした。今回は、らん藻におけるKtrBの生体内での機能と役割を明らかにするために、らん藻のktrB破壊株と野生株を用いて解析を行ったところ、破壊株はK輸送能を失っていた。らん藻が高浸透圧を受けると細胞内からKの流出が起こることが分かった。この場合、野生株においてはKtrABEが機能して細胞内のK濃度を保つことができた。しかし、ktrB破壊株では細胞内へのKの取込みが行われないため失ったKを補うことができなかった。このことは、KtrABEが、浸透圧調節の初期段階において、Kを補充する役割を担っていることを示している。この知見は、高浸透圧応答について、数あるK輸送体(KチャネルやKdp系トランスポーターを含む)の中でKtr系が高浸透圧応答に関して機能することを示しており、浸透圧上昇の原因となるNaはKtr系Kトランスポーターの活性化を行うことが明らかとなった。
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© 2005 日本植物生理学会
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