日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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空色西洋アサガオの開花時の液胞pH上昇に関わる液胞膜タンパクの解析
*河内 美樹森 美穂子前島 正義吉田 久美
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p. 530

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抄録
[目的] 空色西洋アサガオ(Ipomoea tricolor cv. Heavenly blue)のツボミは赤紫色で開花時に青色となる。既に我々は、この花色変化が液胞pHの上昇によることを明らかにしている1)。この現象は液胞膜上に存在する種々のポンプ、輸送体の働きによると考えられるので、これらのタンパクの局在および活性を調べた。
[方法及び結果] 日本アサガオで花弁の青色化にNHX1が関わるとの報告2)を参考に、抗NHX1ペプチド抗体を作成した。花弁では表層の着色細胞の液胞pHだけが上昇する。そこでまず、開花ステージの異なる花弁から着色プロトプラストだけを得て液胞膜を調製した。開花花弁の液胞膜に抗NHX1抗体に反応する50 kDaのバンドが検出され、ツボミ花弁では検出されなかった。アサガオの各組織から粗膜を調製してNHX1の局在を調べたところ、やはり、開花花弁だけに局在した。NHX1は液胞膜に局在し、プロトンポンプによるH+濃度勾配を利用したNa+輸送能が検出できた。V-ATPase、V-PPase、NHX1が協調して液胞pHを上昇させる機構の存在が推定された。
1) K. Yoshida et al., Nature, 373, 291 (1995). 2) T. Yamaguchi et al., Plant Cell Physiol. 42, 451-461 (2001).
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© 2005 日本植物生理学会
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