日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

イネCation/H+対向輸送体 (OsCAX1a) の細胞内局在と発現部位
*神谷 岳洋赤堀 太朗芦苅 基行前島 正義
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 532

詳細
抄録
Cation/H+対向輸送体(CAX)はプロトン駆動力を利用してカルシウム等の二価の陽イオンを輸送する能動輸送体である。これまでにイネよりOsCAX1aを単離し、酵母発現系を用いてCa2+/H+活性があることを確認している。本研究では、OsCAX1aの生理的役割を解明するために、mRNAおよびタンパク質レベルでの発現解析、細胞内局在と発現部位の同定を行った。
 リアルタイムPCRおよび特異抗体を用いた発現解析の結果、OsCAX1aはmRNAおよびタンパク質レベルでCa2+に応答することが判明した。GFP-OsCAX1aのタマネギ表皮細胞での一過的発現と、ショ糖密度勾配遠心法を用いた細胞内局在部位の解析は、OsCAX1aの液胞膜への局在を示した。プロモーターGUSによる発現解析を行ったところ、維管束、気孔周辺の細胞、中心柱、胚とアリューロン層等で発現していた。また、Caは成熟した葉ほど多く蓄積するという知見があることから、各葉(第三から第七葉)における発現量をGUSとリアルタイムPCRにより観察した。その結果、成熟した葉ほど多く発現しており、Caの蓄積量とOsCAX1aの発現量に相関性があることを見いだした。以上のことから、OsCAX1aはさまざまな組織、特に高濃度のCaに曝される組織におけるCaホメオスタシスに関与していることが示唆された。
著者関連情報
© 2005 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top