日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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コムギALMT1形質転換植物のアルミニウム耐性
*佐々木 孝行山本 洋子Emmanuel DelhaizePeter R. Ryan有吉 美智代松本 英明
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p. 536

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抄録
アルミニウム(Al)耐性のコムギ品種では、Al存在下においてのみ根端からリンゴ酸が放出される。我々は、Al耐性コムギからALMT1遺伝子を単離し、その遺伝子発現量とAl耐性の間に強い相関があることを明らかにした。そしてALMT1を過剰発現させたタバコ培養細胞が、Al依存性のリンゴ酸の放出と高いAl耐性を示したことから、ALMT1がAl活性化型のリンゴ酸トランスポーターをコードし、コムギのAl耐性遺伝子であると結論した。本年度はALMT1が植物体においてもAl耐性を付与する可能性について検討するため、単子葉植物のオオムギや双子葉植物のタバコに遺伝子導入を行い、その機能発現とAl耐性度から評価した。オオムギはコムギよりもAl耐性が低い。オオムギのALMT1形質転換体では、根端の高いリンゴ酸放出能と共に、水耕によるAl処理や酸性土壌においてAl耐性コムギ品種と同程度まで生育の向上が認められた。さらに、タバコのALMT1形質転換体でも、水耕栽培におけるAl耐性の向上が認められた。従って、コムギのAl耐性遺伝子ALMT1はコムギ以外の植物体においてもAl耐性を付与でき、酸性土壌耐性遺伝子であることが示された。
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© 2005 日本植物生理学会
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