日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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キュウリCPD光回復酵素遺伝子の光による転写誘導
*五百城 幹英中嶋 信美玉置 雅紀馳澤 盛一郎近藤 矩朗
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p. 547

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抄録
 太陽光に含まれる短波長の紫外線(UVB)はシクロブタン型ピリミジン二量体(CPD)を主とするDNA損傷を引き起こし、その結果植物の生育を阻害すると考えられている。したがって、CPD光回復酵素によるCPDの速やかな修復は、植物のUVB耐性を決定づける生理学的に重要な要因である。キュウリCPD光回復酵素遺伝子(CsPHR)の転写は光により誘導されることが示されているが、これは地上に到達するUVB量に応じた光回復酵素活性の日周変化をもたらす環境適応機構であると考えられる。そこで本研究はCsPHRの光依存的発現機構を明らかにすることを目的とした。CsPHRの発現がどの波長の光で誘導されるのかを検証するために単色光照射実験を行った結果、CsPHRの転写は310nm付近の波長をもつUVBにより最も効率良く誘導されることが明らかになった。さらに、光誘導に関与するcis因子を特定するために、CsPHRプロモーターをレポーター遺伝子(β-glucuronidase遺伝子[GUS]およびluciferase遺伝子[LUC])につないでシロイヌナズナに導入した組換え体を作製した。これまでに、これらの組換え体においてレポーター遺伝子の発現が光照射により誘導されることを確認している。GUS活性を指標とした組織化学的な解析およびLUCを用いたプロモーターデリーション実験の結果についても報告する。
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© 2005 日本植物生理学会
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