日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

根の水屈性に重要なK+チャネルをコードするAKT2遺伝子の発現解析
*杉山 洋行根岸 直希太治 輝昭坂田 洋一田中 重雄
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 554

詳細
抄録
水屈性とは根が水分濃度勾配を敏感に感知し、その伸長方向を変化させる現象であるが、そのメカニズムは未だ解明されていない。これまでに我々は、水屈性に異常を示す変異体のスクリーニングを行い、7系統の水分屈性変異体を単離した。また、単離された変異体の一つ、cs2448の原因遺伝子は電位依存性のK+チャネルをコードするAKT2遺伝子であることを、前大会で報告した。
AKT2遺伝子は主に地上部の師部で発現する遺伝子であるとされていることから、地下部での水屈性にどのようにして関与しているか未だ不明である。そこで本研究では、AKT2遺伝子の根における局在性や発現量の変化と水屈性との関係に着目し、解析を行ったので報告する。
AKT2遺伝子の局在を明らかにするため、AKT2プロモーターGUS植物を用いた。そして、この植物の根端にソルビトールを用いて浸透圧勾配を作り出したところ、根端付近の師部においてコントロールでは見られない強いGUS活性が観察され、AKT2遺伝子が転写レベルで発現誘導される事が明らかになった。また、akt2は乾燥環境下における根の伸長が野生型と比べて遅いことから、AKT2は乾燥環境下における根の伸長に重要な役割を担っていることが示唆された。
現在、より詳細なAKT2遺伝子の発現解析を行っている。
著者関連情報
© 2005 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top