日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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フィトクロム反応様式によって区別される芽生えのフック巻き込み反応 -胚軸の構造変化と成長制御過程からの解析-
高橋 美貴永利 友佳理大内 寿子岩田 尚子井上 堅太郎田中 修橋本 徹*七條 千津子
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p. 562

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抄録
 双子葉植物の暗黒芽生えに光を当てると、フックが開いて胚軸が立ち上がることはよく知られている。このことは、我々もシロイヌナズナ、シュンギクなどで確認している。しかし同様の光照射を行った場合でも、トマト、キュウリ、ニンジンなどではフックは開くのではなく巻き込んで閉じることを我々は見出し、これがフィトクロムLow-fluence-response(LFR)とVery-low-fluence-response(VLFR)の両者によって制御されていることを証明した。さらにHigh-irradiance-response (HIR)の関与の可能性も示した。トマトのフィトクロム分子種欠損突然変異体を用いて調べたところ、VLFRを引き起こす遠赤色光パルス照射の光受容体はphyAであった。また、赤色光連続照射を行うと、極端なフック巻き込みを起こすが、その場合、光強度の違いによって受け持つ分子種は異なり、phyA、phyB1いずれも部分的に関与していることが明らかになった。
 フックの巻き込みは成長現象である。LFR、VLFRあるいはHIRなどの異なるフィトクロム反応様式によって引き起こされるフック巻き込み反応を、胚軸の形態的構造的変化として追跡調査し、それに関わると推測される成長制御過程を議論する。
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© 2005 日本植物生理学会
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