日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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トマト芽生えにおけるフィトクロム誘導フック巻き込み反応を植物ホルモンから解析する
*高橋 美貴鶴見 誠二田中 修橋本 徹七條 千津子
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p. 561

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抄録
 双子葉植物の暗黒芽生えのフックは赤色光(R)によって開くというのが定説であるが、トマトをはじめ数種の植物では、Rと遠赤色光 (FR)のいずれを与えてもフックが巻き込むことを我々は見出し、それがフィトクロムの Low-fluence-response(LFR)とVery-low-fluence-response(VLFR)であることを証明している。
 フック巻き込みは成長現象であることから、エチレン、オーキシンおよびジベレリンの関わりを調べ、次の結果を得た。暗黒芽生えのフックはRまたはFRによって巻き込むが内生エチレン放出量は変わらなかった。暗黒芽生えにエチレン生合成前駆物質ACCまたは約1 ppmまでのエチレンを与えると、フックの開きが大きくなった。ACCまたはエチレンを与えた芽生えにRまたはFRを照射すると、フックの開きが減少した。これらの結果はエチレンに関する従来の知見とは異なる。また、暗黒芽生えにジベレリン生合成阻害剤PACを与えてジベレリン内生量を減少させると、R やFR照射の場合と同様にフックは巻き込んだ。しかし、NPAでオーキシンの移動を阻害すると、暗黒芽生えだけでなく、R、FRいずれの処理でも、フックを形成しなかった。PACやNPAはエチレン生成量に影響を与えなかった。フィトクロムLFR、VLFRであるフック巻き込みにはエチレンよりもむしろオーキシンとジベレリンの関与が示唆される。
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© 2005 日本植物生理学会
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