抄録
シロイヌナズナにおいて、青色光受容体フォトトロピンは光屈性, 葉緑体定位運動, 葉の展開, 気孔の開口等の生理反応に関与する。本研究では、青色光に依存してシロイヌナズナのphot1に14-3-3蛋白質が可逆的に結合することを示した。14-3-3蛋白質は、黄化芽生え, 孔辺細胞, 緑葉のすべてにおいて青色光照射から1分以内にphot1へ結合した。一方、14-3-3蛋白質はどのような強さの青色光を照射してもphot2には結合しなかった。また、14-3-3蛋白質の抗体を用いて免疫沈降を行うと、青色光を照射した場合にのみphot1が14-3-3蛋白質と共同沈降し、これらが細胞内でも結合していることが示された。さらに、大腸菌で発現させたphot1にアミノ酸置換を導入することで、14-3-3蛋白質の結合にHinge1領域内の376番目と350番目のセリンのリン酸化が必要であることを明らかにした。phot1が制御する生理反応において、14-3-3蛋白質がphot1に結合することの役割を明らかにするため、14-3-3蛋白質の結合に重要な376番目と350番目のセリンをアラニンに置換したphot1遺伝子をPHOT1ネイティブプロモーター制御下で発現する形質転換植物を作製した。現在、この形質転換体を用いてphot1によって制御される表現型の解析を行っている。