日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

光屈性に関与するシグナル伝達因子NPH3の青色光依存的な脱修飾反応の解析
*間山 智子中野 道治藤澤 紀子岡田 清孝酒井 達也
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 575

詳細
抄録
シロイヌナズナにおいてphototropin1 (phot1)、phot2は光屈性の青色光受容体をして機能しており、その下流のシグナル伝達因子としてNPH3とRPT2が単離・同定されている。NPH3はphot1、phot2の下流で機能し、光屈性に必須であることが示され、RPT2は光強度に依存して光屈性に関与することが示されている。NPH3タンパク質は光照射の有無に関わらず恒常的に発現し、波長の異なる光の照射により大きさを変えることが示されている。しかし、NPH3とRPT2のシグナル伝達系における機能は明らかになっていない。そこで、本研究はこれらタンパク質の生化学的機能を明らかにすることを目的に、光屈性に関わる様々な光条件下での発現解析を行った。その結果、NPH3 は暗所または赤色光照射により修飾され、青色光照射により脱修飾されることを示した。青色光照射による脱修飾反応は弱い青色光にも非常に敏感であること、光強度に依存的をもつことを示す。この脱修飾反応がphototropinの影響を受けるかを調べたところ、phot1は必須であるが、phot2は必須ではないことが分かった。これらの特徴はNPH3の修飾・脱修飾反応はphot1の下流で光屈性において重要な役割を担っていることを示唆している。一方、RPT2は青色光照射によって、タンパク質の発現が誘導されること、その発現誘導にphot1とphot2が必須ではないことを示す。以上の結果よりNPH3とRPT2の光屈性における機能を考察したい。
著者関連情報
© 2005 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top