抄録
我々はこれまでにパラコート耐性変異株の解析から、ヌクレオチドの酸化傷害からの修復に機能する大腸菌MutTに類似したタンパク質(AtMutT1)の過剰発現が、酸化的ストレス耐性能を向上することを明らかにした。そして、シロイヌナズナにはAtMutT1を含む11種類の細胞質局在型MutT様タンパク質(AtMutT1~11)が存在し、AtMutT8のみがヌクレオチド酸化物8-oxo-dGTPに対する加水分解活性を、AtMutT1はADP-riboseに対して活性を有することを示してきた。本研究では、細胞質局在型MutT様タンパク質のさらなる機能解析を試みた。まず、それぞれのリコンビナント酵素を作製し、基質特異性を検討した。AtMutT1と同様にAtMutT5, 6においてもADP-ribose加水分解活性が認められた。種々のストレスへの応答性を転写レベルで検討した結果、AtMutT6は強光、パラコート、塩、乾燥ストレスによって約2~3.5倍増加していた。さらに、AtMutT1および5も強光、パラコート、塩ストレスに対する応答性が認められた。以上より、植物にはADP-riboseに特異的なMutT様タンパク質アイソザイムが存在し、ストレス条件下におけるADP-riboseの代謝調節に機能していることが示唆された。そこで現在、ADP-ribose代謝と酸化的ストレスとの関連性を明らかにするために、各AtMutT過剰・抑制株を作出し、解析を行っている。