日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

異なる条件で培養したSynechocystis 6803細胞における環状電子伝達系路の変化
*大篁 純子大塚 雅子菓子野 康浩小池 裕幸佐藤 和彦
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 632

詳細
抄録
ycf33遺伝子はこれまでに全塩基配列が決定された緑色植物以外の全ての葉緑体と、シアノバクテリアのゲノム、およびA. thaliana の核ゲノムに存在していることが分かっている。したがってこの遺伝子産物は全ての光合成生物に存在しており、光合成に重要な機能を果たしていると考えられる。本研究ではSynechocystis 6803においてこの遺伝子を欠失させた変異体を作成し機能解析を行った。この変異体は環状電子伝達系に影響が見られることが分かっている。さらに培養条件を変えて培養した細胞において野生株と変異体の間では環状電子伝達系に違いがあることが分かった。
光の強度を通常光(100μE/m2•s)から弱光(30μE/m2•s)に変えた場合、変異株、野生株双方で塩化水銀による阻害が見られなくなった。この現象は空気(0.03% CO2)を通気して培養した細胞でも見られた。特に弱光で培養した変異体においてDPIの阻害効果が大きくみられたことから、光強度の変化によって塩化水銀で阻害を受ける経路が使用できなくなり代わりにチラコイド膜に結合した、FNRを介した環状電子伝達の経路が強くなったと考えられる。以上の結果からFNRが膜に結合しているかどうかが環状電子伝達の経路に大きく影響していると推測できるため、双方のチラコイド膜を精製し活性染色を用いてその違いを調べた。
著者関連情報
© 2005 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top