日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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alternative 電子伝達に関わるシロイヌナズナ新規変異体の解析
*成宮 文香堀口 清華宗景 ゆり田坂 昌生鹿内 利治
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p. 634

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抄録
alternative 電子伝達はZスキーム以外の電子伝達で、乾燥等で生じる低二酸化炭素下で、過剰な還元力を処理し、NPQを誘導するためのΔpHを形成すると考えられる。我々は、PSΙサイクリック電子伝達のPGR5依存とNDH依存の経路が、この過程で重要であることを明らかにした。本研究において、その他のalternative 電子伝達経路の変異株を得る目的で、CO2 free、5%O2、弱光下で高いクロロフィル蛍光を発するシロイヌナズナ変異株を選抜した。CE46-48 はCO2 free 条件下でPSΙの量子収率とNPQ誘導能が低下する。表現型は光合成誘導期で顕著である。CE46-48 では、NDH活性に起因するクロロフィル蛍光変化は正常である。またpgr5 との二重変異体では、NPQ誘導能は酸素濃度に関わらず極めて低く、この表現型はpgr5、CE46-48単独より強い。一方、pgr5とNDH経路を欠くcrr2との二重変異体が光合成に強い影響を示したのに対し、pgr5 CE46-48 二重変異体は正常に生育した。以上の結果から、CE46-48はPSIサイクリック経路以外の光合成誘導期に主に機能するalternative 電子伝達に異常を持つ事が示唆された。CE46-48は、第4染色体セントロメア付近にマップされる。PSIからO2 への電子伝達(water water cycle)に焦点を絞り解析中である。
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© 2005 日本植物生理学会
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