日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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栽培温度がバラ葉の光エネルギー利用と消去特性に与える影響
*牛尾 亜由子牧野 周前 忠彦広津 直樹道園 美弦島地 英夫
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p. 641

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抄録
バラは主要な切花花き園芸作物であり、同化専用葉として収穫せずに長期間維持される葉群の光合成生産によって周年生産する栽培法が普及している。栽培環境温度は年間を通して大きく変動することから、異なる温度条件下で形成された葉の光エネルギー利用消去特性を明らかにすることによって栽培管理に資することが期待される。
バラを高温(30/25℃)または低温(20/15℃)条件で栽培したところ、低温栽培葉( L葉 )は葉身窒素含量が大きく、個葉光合成速度が増加した。一方、高温栽培葉( H葉 )では個葉光合成速度が低く、相対的に光合成で消費しきれない過剰光エネルギーが多いことが推定された。そこで、様々な温度条件下での過剰光エネルギー消去系の特性を調べた。葉温25℃では、H葉ではL葉に比べWater-Water Cycle (WWC )への光エネルギーの流れを相対的に増大させ、高い1- Fv’/Fm’を維持していた。一方、葉温15℃では、L葉では光強度増加に伴いWWCへの光エネルギーの流れが増大する傾向が見られたが、H葉は光強度が増加してもJPSII( PFD×α×ΔF/ Fm’)がほとんど上がらずWWCへの増大も見られなかった。しかし、H葉は常に高い1- Fv’/Fm’を示した。このことから、H葉は常に熱放散は高く、栽培温度付近ではWWCが機能しているが低温下ではWWCは機能しないことが明らかとなった。
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© 2005 日本植物生理学会
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