抄録
グルタミン酸合成酵素(GOGAT)はN代謝とC代謝の接点に位置しており、この反応の際、2-オキソグルタル酸(2-OG)を炭素骨格として要求する。しかし、この窒素同化への2-OG供給系については、明らかにされていない。そこで、イネのGOGAT反応への2-OGの供給系を解明することを目的に、2-OGを生成する酵素であるNAD依存型イソクエン酸脱水素酵素(IDH; OsIDHa、OsIDHc;1、OsIDHc;2)、NADH型グルタミン酸脱水素酵素(GDH; OsGDH1、OsGDH2、OsGDH3)を対象に、発現解析を行なった。
1mM NH4Cl処理区と25mM NH4Cl処理区を設定し、イネ幼植物の根を対象に、窒素添加後の転写産物量を経時的に定量PCR法により定量した。その結果、両処理区において、OsNADH-GOGATと、OsIDHa及びOsIDHc;1の転写産物の蓄積傾向は類似しており、窒素添加後3時間後に顕著な蓄積が観察された。OsGDH1、OsGDH2も窒素添加後に転写産物量は増加し、特に25mM NH4Cl処理区において12時間後にOsGDH2は増加蓄積していた。現在、IDHa特異抗体とGDH特異抗体を用いて、根におけるIDHa及びGDHタンパク質の組織局在性について解析しており、その結果と併せて報告する。